月めぐり@直美の日々是善哉

散歩・落語・お天気・食を愉しむ日々を徒然なるままに

和歌の奥ゆかしさ〜秘めているからこそ感動がある〜

万葉集_和歌_恋の歌_春_20210309

最近珍しくドラマにハマっています。

目と心が疲れるので
かれこれ20年近くテレビを持っていません。

久しぶりに見たいと思うドラマがあり
(テレビが我が家にはないので)
無料配信のGYAOで見てハマっているのがこちら

俺の家の話

www.tbs.co.jp


「能師の家」に生まれた主人を取り巻く物語です。

能楽を高め確立した「世阿弥」の芸術論
著書の『風姿花伝』は
「能」を超えて文学的、哲学的にも高く評価され
その中の有名な言葉が「秘すれば花

ドラマの中でも随所に出てきますが
この言葉を聞いて
1対の万葉集の歌を思い出しました。


男性の歌

「この花の一節(ひとよ)のうちに百種(ももくさ)の
言ぞ隠れるおほろかにすな」

(意味)
この花(桜)の一枝に
数え切れないほどの言葉(私の思い)が秘されているから
どうぞいい加減な気持ちと思わないで」

この歌に対して女の返歌

「この花の一節のうちは百種の
言待ちかねて折らえけらずや」(名無し)

(意味)
この花の内にあるというあなた様の思いが
(あなたに)言い出されるのを待ちかね
折られてしまったのでしょうか?

「好いている」という思い
「好きです」言いたい気持ちを心の奥に秘めて
それを別の言葉に置き換える。

自らの想いの深さを
一枝の桜に込めた春の和歌です。

「秘めているからこそ感動がある」

きっと桜の枝を受け取った女性も
感動をしたから

喜びあふれる思いを
返歌にしたためることができたのだろうなぁ。

俳句はちょこちょこ作っているのですが
短歌はサボり気味・・・

桜の開花はもう少し先ですが
地元の公園で桜を眺めつつ
短歌を作ってみようと思います^^